自殺写真あるカメラマンが高い崖の上から海の写真を撮っていた。一瞬、ファインダーの中を白い何かが横切る。 いったいなんだろう。 そう思って彼が顔を上げると、誰かが大声で「女が身投げしたぞ」と騒いでいるのが聞こえた。 「とすると、今ファインダーを横切ったのはその身投げした女性だったか。嫌な場面を写してしまった」 一瞬暗い気持ちになったカメラマンであったが、今は片付けねばならない仕事がある。 彼はすぐに気持ちを切り替えて、再び撮影にとりかかった。 それから何週間かがたったある日、彼のもとにあの身投げをした女性の母親が訪れた。 人づてに彼がその時、飛び込み写真を偶然取っていたというのを聞いて、是非見せて欲しいと訪ねてきたのだ。 彼は遺族の方が見られて楽しいものではないからと見せるのを拒んだのだが、母親は娘が自殺をしたとはまだ信じられない、もしかしたら写真に怪しい人物など映っているかもしれないし、そうでなくても自殺した事を納得できる材料になるからと言って頼み込んできた。 断りきれないと思った彼は「いいですか、ここに何が写っていても驚かないでください」と念を押した後、その時の写真を彼女に手渡した。 一枚目の写真には今まさに海に飛び込もうとする女性が写っていた。 二枚目の写真を見たとき・・・母親はハッと息を飲んだ。 そこには海に身を投じた女性の下の海面から、まるで彼女を海に引きずり込もうとするかのように無数の白い手が伸びているのが写っていたのだ。 ジャンル別一覧
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